虹の魔法石(四)/朧月夜
「分かった。その魔法石は、わたしが預かろう。
しかし、ヨラン。お前はリグナロスとも通じていたのか?」
「盗賊の情報網を軽く見てはいけません、エインスベル様。
あなたの傭兵団の長、エイミノア様から全てを伺いました」
「そうか。エイミノアが……。しかし、奴の姿が見えないようだが?」
「エイミノア様は、お亡くなりになりました」
「何だと?」エインスベルが怒気を露わにし、ヨランは首を垂れる。
「エイミノア様は、龍族に滅ぼされたのです……」
「では、龍族のこの地への侵攻も、間近に迫っているということか」
「それは分かりません。ですが、エランドル様は、これが一つの取引だと、
考えていたように思われます。すなわち、あなたを試す一つの試練だと」
「一つの試練? 分からないな。エランドルは、いたずらにわたしの部下を、
殺しただけではないか。この世が戦乱にまみれているとは言え、
その仕打ちはあまりにも独善的だ。人一人の命とは……」
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