夜空にある何かに/宏子
 
なに速くなくていいのに
速くならないでほしい、
光より速くならないでって
誰に伝えれば宇宙に取り次いでくれる?
まぶたが痛むほど目を凝らして
秋風に乾いてはしばたき
いつのまにか晴れていた夜空に
見えない 触れない 掴むことのできない何か探して

  誰かの誕生日
  わたしから遺体は運び出されて静まり返る
  lovely.
  なんて訳せばいい
  歩道橋で立ち止まるのなぜ
  大きな鳥に追われ
  忘れたことあるような幸せ
  背中側の秋に気づいて
  子が親の愛を試すように
  風が吹きすさぶ黄金色の緩衝地帯
  やわらかくて 全部受け止めて
  風
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