完全な闇が取り払われるとき/ホロウ・シカエルボク
出来るひとをわたしは信じない、寄せ集められた記憶はまるで虫食いだらけの黒魔術の呪文のようなものに思える、わたしは過去を憎む、それでいい、それはわたしがまだ自分を諦めていないことの証拠になる―誰もがそれを愚かなことだと言う、馬鹿な、どうしてそんな馬鹿なことを言うのだろう、わたしは自分自身で居ること以外のどんなことにも興味がない、だってそれが、人間が生きる理由のようなものじゃないか…この人生で特別、なにかを得たいという気持ちはもうない、それは、十代の時の微笑ましい野心だ、そうした日々の中で、次第にわたしは掴んでいったのだ、自分自身にとって一番重要なことはなにかと…それは富を得ることでは無い、なにかしら
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)