投身万華鏡/ただのみきや
悲哀がトグロを巻いている
酒も飲まずにやっかいなやつが
これ見よがしの独白を不幸が笑う
瞑ったまま見通し脳内で溺死する
斜陽を浴びて滲む色すらない
沈黙の唇はただ冷たい
獣の思弁よ
光の平等性を問うな
本性は誰も平等を好まない
裏返した夢を覆面にするばかり
海から紡いだ糸
神から紡いだ糸
古傷がほどけてゆく
胎児が掌で焼けている
目前の景色すら平らげることができず
絡まり合ってひとつになって
眼差しは沈んでゆく
乖離したから笑い
月と戯れる木の葉の夢想
枯野も下草はまだ青く今朝は霜化粧
切れた赤い鼻緒の行方
景色と音の接合を剥がし
存在と
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