声/
ふるる
つふつと湧く泉に顔をつけてついでに喉を鳴らす
冷たい、聞こえる、身体の中の声は声を連れて来る、
言葉が言葉を連れて来るように
この耳を大切にする
そっと手を添えて漏らさないように
そういう生活の仕方があるはずだ
いい時間だ、出発する、と君やあの人(たち)は言った
もうここには来られない
お別れの握手のかわりに
友よ、と言う声がする
また再び会う日まで
とその声は言った
振り返ると彼方に続く道があり
声は僕(たち)の周りをひとなでして去って行った
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