わたしは ぽけっとに てを いれている/ダンテ カフカ ランボー
 
 おだやかだった


しぜんは いつもより やさしかった


わたしは 「せかい」のなかに いて

「せかい」から へだてられていた

ふしぎな きもちだった

「せかい」を ふしぎに みていた


いつもの ひとが かさを さして あるいている

かなしそうに みえる

あ あのひともそうだ

いつもの ひとだ

やっぱり なんか かなしそうにみえる


あめが ふっている

あめが ふっている

あめが つよく ふっている


わたしは かさをさして こうえんの きぎのなかを 

しずかに あるいている


わたしは ぽけっとに てを いれている


あめ が ふってる

つよく ふってる


わたしは ぽけっとに てを いれている


わたしは 

なにか かなしみににた 

かんじょうの なかで 


「ああ!」

「なんて!」 と おもう


わたしは うつむいている


「せかい」は きょうも こたえない
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