歩けなくなった母親の車椅子を押すとき  二分くらい/モマリサ公
 
未来への帰り道が終了する
家がおもいだせない
曲がり角でつまづく
おかえりをぼんやり
とつぶやく
コインパーキングの光はまぶしく
道路ではこれ以上ないくらいのサイレン
だからそれがなんなの
なんの呪いもない未来がいつかくる
イェーイ
を祈る今

どんどん過去になっていく
でもオレはヒマだから
多機能トイレにすわって
スマホの画面をのぞく
ジエンドのテロップが流れてこない
夜明け前の
空をみあげる
これって夢だっけ
歩けなくなった母親の
のった車いすを押すとき
セオリーどおりに
体を動かすことで
成功する
イメージ
をまだ忘れてない
シンプルとか
複雑であることを理解したり
好きな人を「すきだというこころ」で言う
大好き
無理
つらいから死ぬね
まだ生きたい
大好き
無理
つらいから死ぬね
まだ
生きたい
戻る   Point(1)