2004年の(cap verses / そよ日暮らし投稿作品)/板谷みきょう
1
ふたりきりの ふくらはぎ
すべてが そこはかと
なく 見えない しとしと 囁く
暖めて あげたくて
素直なままなら まだ もう
捨てられた はず なの
少しも 楽になれなくて
好きだった 果ては ただ きす
見えないけれど もたれかかる
ひきはがされて しがみつき
柔らかく 絡みつく 記憶
そぼ降る雨 今 さえも
ふたりきりでも
思い出をたどれば まだ難しい
言葉の真実 二人の秘密
わりきれぬ 想いの 入道雲
澄んだ心に ぽとぽと 触れる
物思う屋根の 雨音
見えない けれど そっと
二人きりの 耳たぶ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)