クーゲンドルにて(四)/朧月夜
「人間が……ドラゴンに変わったのか?」アイソニアの騎士は、呆気にとられた。
エイミノアも同様である。剣の柄に手をかけけたま、その光景を呆然と見守る。
ただ一人、盗賊ヨランだけは、それがありうべきものと思っていた。
ハーレスケイドという異界は、ただならぬものだと思っていたのである。
「味方のふりをしていたお前! 実は敵であったか?」
そう言うアイソニアの騎士に対して、”オーマル”であった者は答えた。
「否。人が対すべきは世界である」オーマル=ドラゴンは答えた。
「ここには、千のドラゴンが訪れようとしている。汝は、それにどう対するか?」
「決まっている。俺たちは戦う。千の数のドラゴンなど、俺、エイミノア、
そして、この盗賊の魔術をもってすれば、物の数でもない!」
「あなたは本当に傲慢なのですね」赤色のドラゴンが言った。
「エランドル様は、そんなあなた方にはお会いにはなりますまい……」
「いけません、騎士様! このドラゴンと対立してはいけません!
わたしどもは、話し合いをもって、この存在と対峙すべきです!」
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