嚥下リズム/あらい
ステンドグラスの天守閣からはただ丘陵を拵え
優れた拡声器で深呼吸する地下街とは愛に抱かれるもののこと
電子版のゲンコツは致命傷に当たらずただ底にあり
締め付けられる、一円の頭脳では作者不明のスリルだけ求められる
悲観的夕暮れは色が抜け大した悪口ではないはずなのに
バラ色のセーターと未練だらけのアナログの暗証番号を欲し
立入禁止の定食屋の真正面で立ち往生している
365のあわてんぼうをあわせても手帳にも記されることはない
無条件のオカルトは正方形の遊園地を思い出すように仕向け
春休みの野良犬みたいに右往左往を繰り返す
若葉マークと年金と謄本と、あなたとわたしのできることを逆算する
週五日のドーナッツからはみ出るクリームは唇から全身まで
まわりこむようにして、かけちがえたことに気づいていないはず
戻る 編 削 Point(0)