走破する、声へ威容へ/ひだかたけし
覚えておけ少年、突然暴れ出し常に微笑む
中村くんを中原くんを、
遺体の父の静謐
老いた母の狂気
太陽の肉体を揺らし
昇る深紅の月に怯え
合体する天空の星雲たちに
鋭角のビート打ち鳴らして
わたしは生く、
私は走破する、
この人生という歓喜を罪悪を
ひたすらひたすら真ん中にて
ひたむきにオノレと対峙し続け
ひたすらにタマシイを採掘して
未来から過去へ過ぎる
時計時間を乗り越えて
過去から未来へと流れ
直観が知覚像と邂逅し
表出する情動の時間へ
遡行して、遡行して
記憶の奥へ記憶の億
わたしは生く、
私は走破する、
内奥の底から微かに谺し残響する
貴女たちの声へ貴方たちの威容へ
飽きることなく流れ続けるTVの哄笑の渦に曝され
徹夜続きの職務の遂行に聴力を損い障害者となり
戻る 編 削 Point(1)