食べていく/葉leaf
で私が辿ってきた道のりを一気に飛び越し、君は今の道を歩いている。だが君は今の道の中に私の辿ってきた道を巧妙に織り込んでいるかのようだ。
君は私と妻の歴史を食べる。私と妻と同じ道を歩き、その細部に気付いている君には、食べるべき果実がいくつも分け与えられている。君が落ち葉を踏むとき、君は私の過去の絶望を食べている。君が野の草に触れるとき、君は過去の妻の希望を食べている。君が野の花をちぎろうとするとき、君は私と妻との出会いを食べている。私たちと散歩する君は、私たちの記憶を食べつくそうとしている。
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