食べていく/葉leaf
散歩をする君は多彩で、私と妻が辿ってきた人生の来歴を一つ一つ口に放り込んでいるかのようだ。君は新しい景物にふれることで心身の底が熱され、ほとんど走るように前進しながら喜びの声を上げる。散歩をする君は流れ出し、この土地の巡ってきた地史を一つ一つ記憶の奥底に焼き付けているかのようだ。君は立ち止まってはドングリを拾い、マンホールを撫でて、歴史の細部を丁寧に食べていく。
私と君は同じ道を歩きながらも極めて遠くそして近い。一つの運動を共有していることによる心身の照応があり、君の喜びが果実となり私は幸福の果実を吸う。だが、私は君とは違った土地と時代の道を歩きすぎている。君と一緒に散歩するに至るまで私
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