詩の日めくり 二〇二二年一月一日─三十一日/田中宏輔
 
その目撃者である。これもまた、単純な話で、読んで、ふーんと思っただけである。

 13作目は、ロアルド・ダールの「ヒッチハイカー」作家は新車を買って、ヒッチハイカーを拾う。スピードの出し過ぎでハイウェイパトロールの警官に切符を切られる。ところがヒッチハイカーは凄腕のスリで、警官が記録した2冊の手帖を持っていた。ひさびさにおもしろい作品に出合った。


二〇二二年一月二十三日 「クラッシュ」


 14作目は、J・G・バラードの「クラッシュ」自動車事故で友人が死んだのだが、その友人は、車の衝突事故で死ぬひとたちのことを写真に撮ったりして倒錯的な喜びを感じていた。死の快楽をさいごに味わ
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