ジェネレーション・テロリスト/ホロウ・シカエルボク
、もう薬の必要が無くなったことが分かった、長い患いのせいで上手く力が入らなかったが、じきに慣れるだろうと分かっていた、動けなくなってからどのくらいの時間が経ったのかよく分らなかった、前の仕事場に一度顔を出してみようと思った、また同じ思いにとらわれるかもしれない、まともな人生を生きてこなかったこの俺には、この世界は荷が重過ぎるのかもしれない、そんな気がしないでもなかった、それでも無駄死にはくだらないことだったし、まだ死にたくないのなら生きていくしかなかった、俺はよろめきながらシャワーを浴び、剃刀で髭を剃って清潔な服を身に着けた、人生は決して望みどおりになど動くことはない、だけどあの電波塔は、呪いのように俺の頭の中で同じ言葉を繰り返す、こんな人生がどこへ辿り着くのか、それを見極めるまでにはきっともう少し時間がある。
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