自由律短歌雑詠(2022年9月)/朧月夜
 
言葉しか、綴れないよと言っていた。その言葉すら、手のひらから逃れ。

この痛み、続くのは幾月か。病のなかに、ふと訪れる安らぎ。

階段を降りて、母と二言三言。犯すべくなき、領分があり。

空高く飛べると、君は言っていた。いつかの歌に、迷いは消え。

紫陽花がまだ咲き残っている。父が起きるより、早く目覚め。

暁の前に自由な時間があり、わたしはただわたしを労わる。

眠れぬ夜、朝は目覚めとは遠く。もう一日の痛みが始まる。

洗濯物、母が干すのを取り上げて、「いいよ、いいよ」とただ言う娘。

曇り日の湿気も多い朝(あした)かな。ぐるぐるぐると頭は周り。

テー
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