蛇のきもちのすべて/秋葉竹
 


くちびるが薄い人は
冷たい心の持ち主だと
かつて好きだった人に云われたことがある

むろん私のくちびるは
薄い

でもそのくちびるから漏れる声は
好きだと云ってくれた
光り輝く本心みたいな夢の想い出が
ただじっと動かない蛇の瞳を
悲しませるというのはどういうわけだ

上を向いて星をみあげた
白い砂浜で
花火の跡がそこここに散在していて
潮の香りの空気がなぜか
私の胸に入りたがっているみたいで


肉の身の
この痛みをいつまでも
いだきつづけるのか
心の傷の痛みもか

邪魔な嘘ってあるんだろうか?
正しいホントってあるんだろうか?


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