蛇のきもちのすべて/秋葉竹
くちびるが薄い人は
冷たい心の持ち主だと
かつて好きだった人に云われたことがある
むろん私のくちびるは
薄い
でもそのくちびるから漏れる声は
好きだと云ってくれた
光り輝く本心みたいな夢の想い出が
ただじっと動かない蛇の瞳を
悲しませるというのはどういうわけだ
上を向いて星をみあげた
白い砂浜で
花火の跡がそこここに散在していて
潮の香りの空気がなぜか
私の胸に入りたがっているみたいで
肉の身の
この痛みをいつまでも
いだきつづけるのか
心の傷の痛みもか
邪魔な嘘ってあるんだろうか?
正しいホントってあるんだろうか?
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)