みらいゆき/すいせい
っくり雪がふるように
忘れてはいけないひかりがある
だから
だれにもわからないことばで
わたしたちは話さざるを得なかった
暖炉に薪はつきて
さむさがはいのぼってくるのを
どうすることもできなかった
扉におおきな閂をかけ
どこへも逃げられないように
沈黙をはじめる
かぎりなく透明な目配せの中で
包帯に巻かれた午后が気球をあげる
ああ 画用紙に描いた熱が月を回るよ
わたしたちは遠く塩の湖をとぶ
たくさんの知らない言葉が埋まっている地平で
ただ訥々と笑みをこぼす水仙
うつくしい歯並びで空を噛む塩の柱
ひとつひとつと数える事しかできなかった
差し出され
[次のページ]
戻る 編 削 Point(8)