容器/ひだかたけし
 
世界が暗くなっている
車が通る、人が過ぎる
どんより曇った空模様、
細かい雨が降り始め

道にてアパートの隣人と出会います
彼女は親しげな笑顔浮かべ
手と手を宙で打ち合わせ
互いに挨拶を交わします

涼風の吹くこの朝に
むしろ寒気さえ覚えながら
暗む世界を歩いていく
僕は、事象の現れを
ひたすら受け容れていく
小さな空っぽの、
傷付いた容器だ


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