風の中の網膜の疼きを/ホロウ・シカエルボク
トだ、既存のアイデンティティに乗っかって、得意そうな顔をして生きるなんて到底出来そうもない、俺が欲しいのはいつだってオリジナリティーだ…それは、手に入れたいという意味じゃない、もうそんな歳じゃない、そいつはもう、手に入れている、おそらくは、十年くらい前に、そう、俺が言っているのは、そいつに見合う形態を見つけるという意味でのオリジナリティーだ、表現のツールとしての存在意義だ、真夜中に、灯りの消えた部屋の中で、仰向けになって天井を眺めている、天井にテントウムシのように張り付いて沈黙している室内灯、じっと見上げているとそいつは、占星術師の水晶のように運命を映し出す、それの読み取り方を俺は知らない、けれど
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)