虚空/あらい
紡錘形の身の丈、端が見えないから立ちはだかる
これが大粒のダイヤ、他は昏い残片とある
ひっかきまわし、
入り乱れる、
波打ち際に群がる、
なにかもみ合うような粉々な、
わたしたちの原石。
措置された辺りに銀糸の潮騒が悠揚を連れてくる。
大げさな海原に点綴する光の虚妄に裸足で追いかける、
エメラルドの鴎のこと。
灘に差し掛かる素描は乱れる。牙が繁吹き鉤爪が滾る、
荒れ狂った放光が拐われていく
水を張った桶のこと。
跡形もない夢の跡に、
ありもしない幻がくすぐる、
この胸を鼻先を掠めぼんやりとしたまま、
朝を迎えればよかったのに。
揺さ
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