腸腸夫人/ただのみきや
 
アルバイト
こびとの恋人
死別とキャベツの恋愛論に
金粉と接吻のランタン
愚にもつかないグラタン
恥辱をいじり合え
互いに母音を誘い出せ
蛇の耳には熱い吐息
祈りのことばが二つ折られた朝
糊しろでは色盲の星たちがもがいていた
駱駝の目でバサバサ羽ばたく嘘つきども
赤い車を爆破せよ
塞がれたポストの中
情念は熟成されてゆく
妖艶なガスの踊り子たちも
きみら彼らの水彩的遠浅では
解ではなく貝になる
もしくは怪 あるいは壊
ことばは人肉に飢えている



                《2022年10月1日》








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