腸腸夫人/ただのみきや
だから
双六のサイコロを振るように
延々と置き換えるだけの一人影踏み
ありもしないボールでリフティングして
てきとうなところで落としては
音の抜け殻を並べている
われらは生と死の境界を絶えず跨いでいる
生まれついての老人
永遠のこどもであり絶叫する胎児である
参
郵便ポストを強姦せよ
投函口を縫合せよ
すべての死者を手紙として未来へ送れ
過程を料亭に変えて接待せよ
骨盤と顎骨を脱臼させて
きみらは黒い蒸気機関
向日葵畑で猿を追いかけろ
映画のような遠景の
大腿骨を引っこ抜け
着ぐるみ脱いで逃げだして
裸足で昔話を駆けてゆく
ア
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