腸腸夫人/ただのみきや
 

赤い糸屑が絡んだあばら骨
ソフトな拷問の日々

互いの影を踏まなかった
ひとつに溶けるのが怖かった

通過儀礼から逃げ出して
淫らな踏み絵に額突いて

眼球は自転する
息は静かすぎた

ぼくは塵になって木洩れ日に見つけられる
階段の踊り場から振り返り
希望のメタファーは地の底へと下ってゆく
蝶たちのまつわり戯れる爪先が最初に当たった
しゃれこうべがぼくだ

常夜灯になったあなたへ
青が争う静けさとはいったいなんだ

秘密に焼かれて唇が爛れている
感嘆符と疑問符だけが遺骨のよう

先鋭な意思としてのペニスが
歴史をまとった土着の母神の
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