世界の真実(十七)/朧月夜
 
「話せば長くなります。ですが、ヒントはエランドル様の言葉にあります」
「エランドル? さっきこの女に取りついた亡霊のことか?」
「俺は知っている。世界を滅ぼした男だな」と、エイミノア。
「それは違います。しかし、当たっているとも言えます」

ヨランはゆっくりと続ける。「きっと、エランドル様たちが生きていた世界は、
 魔法素子の暴走によって滅亡したのです。さっき聞きませんでしたか?
 魔法素子とは、生き物なのだと。わたしは、その時に悟ったのです」
「悟った? 何を?」怪訝な面持ちで、エランドルが言う。

「魔法素子は、わたしたちの世界であるアースレジェにも満ちております。
 そこに、この魔法素子のすべてを制御できる、虹の魔法石が持ち込まれたとしたら?
 さて、どうなりますでしょうか?」──そうだ。どうなるであろう。

アイソニアの騎士は首を傾げた。「魔術は、魔導士どもに任せておけば、
 良いのではないか? 盗賊」──そこに、何らの疑念はないようだった。
「いえ、問題があるのです。先ほどのような、魔法の発動です」
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