この秋晴れに、階段を/ひだかたけし
 
この秋晴れに、階段を
一段飛びで
上る

ぐんぐんぐんぐん登る
どこまでもどこまでも昇る

すると、

涼やかな風に舞い
白々と透明な綿毛が
無数、数知れず
飛び交って来る

それは
階段の頂きに
不思議に開けた
鮮やかな緑の野辺から

今、階段の頂きに
無数に舞い飛び交う
綿毛に取り巻かれ

不思議に開けた
鮮やかな緑の野辺に

私は在る、自由に
肉から束の間、解き放たれ
わたしの奥処の聖なる自我が
しずかに、しずけさに、

不可視、たたずみ
独り在る

  *

この秋晴れに
生き生きと
階段を昇り切り

フシギに開けた
鮮やかな緑の野辺に

ああ 風が吹く
吹き抜ける








*この詩は、今朝覚醒した意識で下書きしたものを、夕方完成させたものです。
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