2022:a space odessey/本田憲嵩
 
ゴとして、珈琲舎「しじん」と書かれている。ここで彼は深く沈んでいた岩盤質の地層をまるで掘り起こされたようなとても複雑な気分になった。それはなんと言うか、かつての自身をもうすでにそのような形でとっくに葬ったつもりであったし、その半人半馬の女性と息子のような人間の少年とが戯れているさまは、まるでかつての自身の作風をどこか彷彿とさせるものであったからだ。まるで国旗のような象徴そのもののように。何よりもそれはかつての自身の墓標のように思えてならず、しかし同時にそれは、たしかにしじんであるじしんがかつて存在していたという記念碑的な黒い小さなモノリスのようでもあった。その女性の下半身が馬のようになっていること
[次のページ]
戻る   Point(2)