夏の後ろ背を蹴る/ひだかたけし
 
土手の
草木が揺れている
熱い風が吹き
彼岸花はまだ咲かない

夏の後ろ背を追いやったはずの
秋が
今日一日、夏の再来に追いやられ
せめぎあい渦を巻く
木霊が
生来の不安と恐怖と孤独を抱えた
わたしの心に
残響する

綿毛が宙を舞う
光の宙を舞っている
次々と、次から次に
白々と透明に
何処から来たのか
白々と透明に
疼痛が始まり
帰りを急ぐ
わたしの身に
まとわりつく

  *

ネットで詩の表現を
他者の読み手のあなたの
魂の面前に日々、曝す
ことが
なぜ、
趣味だの生き甲斐だの自己満足になるのか
自己完結し得るのか
私には 
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