幻/Giovanni
あなたは
私はあなたのもの
と 言った
華やかな動き
夏の花の笑顔
豊かな体
私は それなのに
恐れていた
こんなに鮮やかさは
私にはいつまでも
とどまらないと
華やかな花には
ささくれだった
白い葉脈があった
それに刺され
傷つけられ
呻き 怒ると
あなたは私を傷つける
そう言って
あなたは泣き出した
あなたの白いナイフには
全く気付くことなしに
やがてあなたは
私を離れたいと言いはじめた
言い訳なんかいらない
私はあなたのもの
なんて
結局は幻だったのだ
もはや食べて命をつなぐことしか
私に何も求めない
鮮やかな花
あなたは
もはや
私のものであって
私のものではない
別の方向を向いてしまった
別の世界の物体を
私は泣きながら抱いて眠った
そう
あなたが私のものでいたことなど
一度だってなかったのだ
だから
私は恐れていた
だから
私は躊躇っていた
そして
ただ
私はどこまでも愚かだったのだ
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