戦う必要はない、ただ光を眼差し/ひだかたけし
 
開き

一、二、三、四、
いち、に、さん、し、
シャケの切り身を生で喰う
肉の苦痛に性欲が高まる
時間を刻む荒い息
静謐な心はまだたもたれ
美しい二重の瞳が浮かぶ
暴力と哀しみと清澄を秘めた
ジョンレノンの肖像を観る

冷房が効き過ぎたこの白い小部屋に
わたしはひとりすんでいる
クール宅急便のトラックは去った
混沌の渦が接近する

荒い鼓動に、私は耐える
戦う必要はない、ただ光を眼差し

激痛走る脳髄に、私は耐える
ただ光を眼差し







戻る   Point(4)