そして僕は還る場所を見つける/里乃アキラ
 
い海は、僕を置いて消えてしまった。
取り返すのは難しすぎて、
宇宙の彼方で僕を見守っている誰かにさえ、頼めないのに。

ああ、いっそ、海にこの僕の体を捧げてしまおうか。
僕の体から流れ出た青が広がれば、海は還ってくるかもしれない。
もう一度、あの透き通った青に戻りたいと、還りたいと、云ってくれるかもしれない。
海柱石の涙と藍晶石の血、そして空が恵んでくれる天河石の雨に、
海よ、君は嘆いてくれるだろうか。
海に魅せられた僕の残骸を胸に抱いて。
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