こうていペンギン/菊西 夕座
ペンであるか?
予は到底ペンでは書けまいぞ
ましてや消し去ることなど言語道断
予は胴短にしてほぼ全身が首である。
予は高低ペンギンであるぞ
位は高けれど姿勢は低し
ぎょくせき こんこう いっちょう いったん
すべてよし。
予は鳥帝・・してこの両翼は鳴かず飛ばず
笑わば笑え 余はくじけまいぞ
潜水艇の放つ砲弾のごとき泳法で
夢に向かって進むことに迷いなし
予は前傾・・して睨み据えているのは
割れた氷の歴史と仄暗き海の未来
がくがく ぶるぶる がくがく ぶるぶる
それでよし。
さて汝、南極を照らす眠りしらずの女神よ
ボーリングのピンと余の体形が似てはいても
予はピンギンにあらず
さればこそ予を転がす遊びはもうやめよ
予は横転・・ではなくして直立の王
不羈・不抜の精神でもって高らかに歩く
たとえ前傾のくちばしに否定をくわえても
予は肯定・・して逆らうものの首はみな
予の首にすげ変わる!
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