詩の日めくり 二〇二一年十一月一日─三十一日/田中宏輔
もどしたのだが、その熱帯の蔓草や、鳥たちの目のさめるような羽毛の背後に、さらに荒々しい世界が待ち受けているのだ。おれは郵便配達人が通りすぎたあとの郵便箱からランの花束を取りあげて、その見知らぬ、かれらの恋人からのメッセージににっこり笑っている夜着姿の主婦たちをみつめた。この町全体が、かれらの夜のぬくもりをそなえた肉体に捧げられたおれの花輪であった。
(J・G・バラード『夢幻会社』21、増田まもる訳)
二〇二一年十一月十三日 「アレフの彼方」
きょう三条京阪のブックオフで、グレゴリイ・ベンフォードの『アレフの彼方』を110円で買った。ベンフォードの作品で唯一、読んでなかったも
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