ファイブ/望月 ゆき
 
終えることができず
均等にしか力をかけられなかった、
5本の指だけが
ひどく、痛い


はやく、ひとつにならなければ、はやく、


あなたがこの世界から消えるということに
なんの違和感もなかった
あなたはこの世界から
ごく小さい、わたしだけの世界へと
住みかえるにすぎない
この世界には、たったひとつ
あなたがいつもわたしにくれた、5時間の
快楽の根源だけ残してくれたら
それで、よかった


かわいい、あなたよ
わたしの懐でおやすみなさい
いいえ、
わたしたちは、もう
夜更けを待つことなく、体をかさねて
朝になっても、もう
あなたを 殺したりしない


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