水の地をすぎて ?/木立 悟
 







雨 雨 孕む雨
雨 雨 流す雨
水がしばらく水でなくなり
再び水に戻る時
雨粒の間を 越えてくる声


真夜中の光が隔てる心を
多くの花が見つめている
誰もいない径どうしがつながり
ずっとそのまま つづいてゆく


いつもより蒼い曇に追われていると感じるなら
畏れることなく歩みを遅くし
何が起こるかを見つめることだ
午後の宝を受け取りたいのならば


雨の剣 遠のく目と目
径にはひとり 風の影
坂を知らない子供たち
巡るばかりの子供たち


骨の羽で何を斬るのか
水たまりの底は深まり
いつかもうひとつの海となり

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