水の地をすぎて/木立 悟
 






岩の集落に刺さる虹
色を失い降りる鳥
横倒しの如雨露から流れる曇
ゆうるりとゆうるりと線路を覆う


家の何処かで
茎が動いている
片方だけ 葉が幾重にも重なり
倒れながら羽ばたいている


午後の曇に生まれる
大きな人差し指が
降りて降りて降りつづけ
降りて降りて消えてゆく


響きでもなく
連なりでもない
何かを限ることのないものが
常に常に 降りそそいでいる


冷たさと風は音になり
空の鱗を震わせている
折り畳むまばたき
景めくるまばたき


人の目に触れたとたんに
花はおのれの名前を変え
やわらかくや
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