ランド・オブ・ザ・デッド(黄泉の国)/ホロウ・シカエルボク
深紅の、極細の線が無数に、ありとあらゆる方向に投げ出された髪の毛のように散らばりながら作り上げた景色だった、びっしりと重ねられたその隙間を縫うように、白く、心許ない、かろうじて人のかたちであるかもしれないといった、これまた無数の影が、縁日の金魚のように落ち着きなくうろうろと蠢いていた、空気は打ちっぱなしのコンクリ建築の地下室のようにどっしりとした湿気で満ちていた、俺はおそらく初めてそこに来た誰もがそうするように、唖然として立ち尽くしていた、細く素早い風が一瞬吹いては消えるような音がずっと頭上で繰り返されていた、そうした、五感で感じるすべてのもの以外のなにかが、景色のどこかに、或いはすべてに、明
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