長い漏電/ホロウ・シカエルボク
 
び去っていった、俺は呆気にとられ、それから笑った、霧はどこかへ行ってしまい、湿気を含んだ熱があっという間にあたりを取り囲んだ、なにひとつ明らかにはならなかった、ただ明らかにおかしなことに足を突っ込んだ、それだけが確かなことだった、世界の歪みだったのだろうか、それと俺自身の歪みだったのか…配電盤はあいつが出て行った状態のままそこに転がっていた、でもひとつだけ違うことがあった、あちこちが血で濡れていた、不意に右の拳に痛みを感じた、血はまだぼたぼたと流れ落ちていて、金属片があちこちに刺さっていた、ああ、と俺は声を上げた、それから配電盤を蹴っ飛ばした。


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