ハーレスケイドでの戦い(三)/朧月夜
 
読者にはまず、このことを思い出していただきたい。すなわち、
ハーレスケイドは時間が止まった世界である、と。
ここ、ハーレスケイドで何万年の時間を過ごそうと、
現世であるアースレジェでは、何秒の時間も経ってはいないのである。

もしも望むならば、いや、呪われたならば、と言ったほうが良いであろう、
この幽冥界で過ごす時間は、永劫の時をも超越していく。
そのためにこそ、このハーレスケイドという世界はあったのである。
この世界を造った者は……、いや、今は先を急ぐまい。

盗賊ヨラン、アイソニアの騎士、そしてオークの傭兵エイミノアは、
エインスベルを救う手立てを求めようと、奮闘していた。ヨランの言によれば、
虹色の魔法石を手に入れることが、その一助となると言う。

しかし、虹色の魔法石とは、果たしていずこにある物なのであろうか?
その鍵を握っているのは、オーマル・リケイディアという、一人の謎めいた女性だった。
ヨランは今一度問う。「オーマル様、わたしどもは過ちを犯してはいませんか?」と。
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