泥つきのステップ/菊西 夕座
その忠告にこそ 穴をあけてみたいのさ
シャッター街の沈黙をぶっかきながら
廃屋の残香を 気楽にあばいていたいのさ
眠るヒトリシズカを根ごと掬い上げてから
おれのひび割れた顎が軽快にステップを刻みだす
泥の拍手喝采がおれの首にすっ飛んでくる
太ミミズどもがからまって お似合いのマフラーに。
どうぞ自由に お堀りになってといわれたならば
だれも掘らない場所をこそ まっさきに狙うたちなのさ
それがどんなに不毛な土地であったとしても
意表をつくためならばさっとほじってみるものさ
藪にうもれた墓場のホールを開場すると
おれの顎先にう
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