匣/
長月 猫
薄暗い部屋の中に一つ
薄汚れた小さな匣があった
その匣は幾重にも封がなされ
絶対に匣が開かないようにされていた
すぐ向こうから何人かの男女がこちらへと向かってくる
……
誰も気付かなかったようだ
だが……
いつか誰かが開けてしまうのではないか
私は祈る
この匣に誰も気付かないでおくれと……
この匣を永久に
眠らせておくれと……
戻る
編
削
Point
(1)