匣/長月 猫
 
薄暗い部屋の中に一つ

薄汚れた小さな匣があった

その匣は幾重にも封がなされ

絶対に匣が開かないようにされていた

すぐ向こうから何人かの男女がこちらへと向かってくる

……

誰も気付かなかったようだ

だが……

いつか誰かが開けてしまうのではないか

私は祈る

この匣に誰も気付かないでおくれと……

この匣を永久に

眠らせておくれと……
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