流れるごとく書けよ、女詩人/藤原 実
 
一篇より完成してゐた」だけに、その後の変化というのを想像するのが難しいです。
彼女と同時代に活躍した1930年代のモダニズム女性詩人たちのその後を辿ってみても、その詩人としての才能を伸びやかに育てていけたかどうかについては疑問です。

彼女たちがみな若い女性であったということもあるのか、戦後の消息というのが研究者の方たちは別として私たち一般の読者にはほとんど伝わっていません。

『マルスの薔薇 : ろまん・ぽえじい』の莊原照子は時局に反する言動があったとして、戦争末期に特高警察の監視下に置かれ、やがて消息不明となり、それから十数年後、詩誌『詩学』の1957年12月号に「莊原照子さんの思い
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