流れるごとく書けよ、女詩人/藤原 実
思い出ー城田英子」という「追悼文」が載り、その記事の末尾には「戦前の『椎の木』同人として左川ちかなどとともに活躍した女性詩人。詩集『マルスの薔薇』(昭森社刊)。横浜に住んでいたが、敗戦と同時に仙台にのがれ、直後に病死」とあります。が、しかし彼女は死んではおらず、この「死亡通知」から十年後、詩人としての活動を再開しています。「詩壇の公器」を自負していた『詩学』でさえ、こんなまちがいをしてしまうほど手がかりがなかったわけです。
彼女らの中で世間的に最も成功したのは江間章子でしょうが、彼女の戦後の名声は現代詩人としてよりも唱歌『夏の思い出』の作詞者としてのものですーーーもちろん、それはそれで素晴ら
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