答えは風の中/ホロウ・シカエルボク
 
なんて実家に忘れてきたおもちゃみたいなもの、ある種の愛着以外に特別なものなんてない、いつからか風になびく木々のように生きたいと思うようになった、ただそこに在るというだけのものってどうしてあんなに素敵なんだろう、そんな理想を語っていると変り者だと言われた、それはなにと比較したうえで言っているの?と尋ねると、みんな上手く答えることが出来なかった、だってみんな、自分たちと違うからってそんなふうに言っていただけなのだもの…過去に、現在、未来、それらはみんな風のようなものだ、どこかから吹いてきて一瞬肌に触れ、どこかへと去っていく、なにかを残すことなんかない、いつだってなにもない平野に立って、どこへ行くべきか
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