あまりにも長い/岡部淳太郎
 
長い日々なんだ
頭の中の声は
休むことなく
あまりにも長い話し合いをつづけている
こんな永遠が ありふれた落し物のように
そこらへんに転がっているなんて残酷じゃないか
たとえば俺は君となら
このあまりにも長い永遠を飛び越えることが出来るかもしれないが
困ったことに君は俺のそばにはいない
あまりにも長い距離の向こう
あまりにも長い一週間を渡らなければ会えないときている
そう あまりにも長い
あまりにも長い道なんだ
俺たちがこうやって日々をやりすごしてたどりつくには
あまりにも長い道を越えなければならないんだ
仕事帰りの電車の中
俺は読みかけの詩集の頁に眼を落とす
あまりにも長い一行を読み終えて
次の一行に移ったところだ



(二〇〇五年四月)
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