あまりにも長い/岡部淳太郎
 
あまりにも長い一日だったな
そう あまりにも長い
頭の中で 声と声が話し合う
俺は二重人格なのだ
ひとりの俺は勇猛果敢で
もうひとりの俺はあまりにもなさけない
あまりにも長い午後だな
そう あまりにも長い
今度は時間を限定してきた
一日を半分に折り畳んで まだつぶやきつづけるつもりだ
今朝の電車に乗るのはおなじみの顔ぶれで
明日もまた同じ時間の同じ車両に乗れば
同じ顔ぶれに会えるのだろうと思うと
こんな毎日が年もとらずにずっとつづいてゆくのかと思える
そんな時だ
あまりにも長い線路の上で
あまりにも長い日々のことを考えるのは
そう あまりにも長い
あまりにも長い
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