きみの猫をデッサンする/ただのみきや
きみの猫をデッサンする
きみに興味はないけれど
液化する時間
揮発した時間
猫を追いかけた
自ら曾祖父の手をとってジルバを踊る
ああ激しいアクロバット
でも着地点はわきまえた
よもやま話に興味はないけど
きみの猫をデッサンする
きみから抜け出す小さな夜を
追いかけて描く地図
うなじの黒子が世界の中心
相合傘で括られて
親の仇かと思うほど
弁当箱の青い海
孤独が頬を噛む
蟹のような物語からぬけだして
猫の行く先は
海 海 海
鰭と鱗を取り戻せ
肺を捨てて鰓呼吸
海へ 海へ
きみの生活が追いかける
ああ自虐のジェットモグラ
だがひと足早くかもめ
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