貴女/ひだかたけし
 
熱気籠るこの夜に
雨が降る、静かに
世界を透明に染め
私の魂を奥底に沈め
五感の縛りを解いて

広がる大洋は
この世界の最中に在り
私の内底から溢れ出る

精神の響きは踊る直観が捉え
此処に自由な人を在らしめる

静かに降り続ける雨を見ている
静かに降り続ける雨を観ている
私の魂が苦痛の肉を束の間離れ
私の魂が苦痛の肉から束の間解放され

帰属すべき内なる宇宙が此処に在る
帰属すべき懐かしい故郷が此処に在る

理性は遂に貴女を知らなかった
理性は遂に貴女と出逢わなかった













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