やぁ/板谷みきょう
小学校の近くの文房具屋は
駄菓子も売っていて
店番をしてるのは中風の親父で
学友たちは
「ハセのオヤンジ」と言って
片方の腕を曲げたまま手を震わせて
びっこを引いて歩き
片麻痺の真似をして
笑いあった
口をへの字にして片目を閉じ
口調まで真似て
首を傾ける位になると
みんな尊敬の眼差しで見た
同じ苗字のタッカやオンコも
ヤマロクややっちゃんも
トリもマッツも
みんな
ハセのオヤンジの真似をして
笑いあった
マッツは
名前をタエコからタカコに変えたのは
「てんかんだからだでぇ。」と
教えてくれながらボクに向かって
「イッタく〜ん。」と
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