ヨランの挑戦(四)/朧月夜
 
世界とは、常に変化流転しているものである。
いつかわたしが語ったように(わたしが一体何者であるか、
それはここでは、未だ伏せておくことにしよう)。この世界は、
三千年前に起こった「言語崩壊」によって、一変した。

今ある世界は、一度終わりを迎えた世界なのである。
そんな世界のなかで、盗賊ヨランは一つの答えをつかみ取ろうとしていた。
アイソニアの騎士、そしてエイミノアは、ヨランの知識と智謀に賭けるしかなかった。
アイソニアの騎士は、あらためて周囲を見回す。

ヨランが言ったように、そこは神々を祀る神殿のようだった。
ところどころ崩れかかっている箇所はあるものの、
その景色は、三千年前の威厳をたしかに保持しているようである。

それが、ただならぬ印象と感慨とを、三人の旅人の心に与える。
「さて、ここで俺たちはいったい誰に会うというのか、ヨランよ。
 お前は、ここで我らが意外な人物に出会うと言ったな?」
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